タオルにおける黒や濃色の扱いは、あらかじめ特性を知っておくと問題が無くなります。黒やそれに近い濃色は、そうでない色よりデメリットは高い傾向にあります。
発色
顔料プリントの場合:タオル上での顔料の黒色は、パッと深い黒にはなりません。黒ではあるが少々墨色っぽい黒になります。顔料の黒がワントーン落ちたように見えるのはタオルの毛先(または表面)が光を拾うためです。顔料インクジェットはシルクスクリーンよりもさらにグレーがかったように見えます。顔料素材の場合はシルクスクリーンの方が発色は良いでしょう。
染料プリントの場合:黒は深い黒になりやすいです。発色も良い傾向にあります。これはシルクスクリーンでも染料インクジェットでも同じ傾向にあります。
黒が洗濯後、綿素材の細かい毛羽が目立ちやすい傾向にもあるのは顔料も染料も同じです。
風合い
顔料プリントの場合:黒色や濃色は色を構成する色素の量が多くなります。それに伴い、顔料の場合その色素を定着させる物質も多いということになります。全面ベタプリントのように色の量が多くなると、わずかにごわつきのある風合いになりやすくなります。
染料プリントの場合:高温蒸し、洗いの工程が加わることもあり柔らかい風合いになります。その風合いにより、デザイン柄のエッジは顔料よりも立たなくなります。
色落ち
顔料プリントの場合:納品された状態のタオルは素材に一番色が載っている状態となります。はじめの洗濯の色落ちは、ベタプリントによる余分な色がおちている現象です(洗濯はじめのうち)。1回の洗濯、もしくは数回で色は落ち着きます。余分の色が落ち安定します。素材から色が無くなるわけではありません。
弊社では他への色移りは起きにくい素材(顔料)を使っています。心配な方は参考サンプルを必ず請求してください。
染料プリントの場合:プリント工程の洗いの工程が加わっており、余分な色は落ちている状態ですが、はじめのうちは白物や薄い色の物と洗わないでください。移染の可能性が生じます。はじめのうちは濡れたタオルの上に長時間物を置く事や、白物や薄色の物を重ねないようにしてください。
手ぬぐいの全面ベタプリントの場合
手ぬぐいの全面ベタプリントにおける黒または濃色は、生地表面の影響で色ムラになっているように見える場合もあります(使用する色によってはまったく分からない場合もあります)。
手ぬぐいは比較的荒い平織物です。吸水性があるのはそのためです。しかしプリントを行う場合、その表面の荒さがムラの原因になります。また製造の過程で生地を平面にするために使われる糊もムラの原因になります。
手ぬぐいにおいては、弊社ではオート捺染(顔料)、注染(本染め染料)の方法があります。またそれぞれにおいて、得手不得手がどうしても生じます。現在手ぬぐいのオート捺染シルクスクリーンプリントは顔料のみの対応になります。染料が良い場合は注染での案内になります。